資産流動化法のTMK
資産の流動化に関する法律(資産流動化法)の特定目的会社(TMK)とケイマンの特定目的会社(SPC)の比較
| TMK(日本) | SPC(ケイマン) | |
| 設立手続き 及び設立期間 |
内閣総理大臣(窓口は財務局)への届出後、法務局で登記 (財務局で内容を確認) 2ヶ月前後 |
商号を指定しなければ即日 |
| 投資対象財産 | 日本国内の全ての資産 | 世界中の全ての資産 |
| 投資家との契約 | 優先出資証券・特定社債 金融商品取引法の規制あり |
匿名組合・任意組合・LLC 投資するものによって規制あり |
| 倒産隔離約 | TMKだけでは不可能 (中間法人の利用) |
チャリタブル・トラスト(慈善信託)による支配権の排除 |
| 税金 | 登録免許税の特例あり 法人税の特例あり |
法人税課税なし 源泉所得税なし |
| パス・スルー課税 | 課税所得の90%以上の配当等によってパス・スルー課税制度あり | 留保しなければパス・スルー課税 |
| 配当の種類 | 配当所得(配当控除、法人の益金不算入制度は使えない) | 匿名組合であれば雑所得 任意組合であれば事業・不動産・譲渡所得等 |
| 損失配当 | 不可 | 不可 |
| 減資 | 不可能 | 可能 |
| 監査 | 強制(金額の基準あり) | 任意(公募の場合には強制) |
TMKを使うメリット
TMKは財務局への申請など、株式会社を使うよりも手間はかかります。しかし、それでもメリットが大きいと考える人がいるからこそ、作られているのです。
(1)コストが安い
TMKの設立や運営上、弁護士への依頼などは必要ありません。公認会計士の監査も、大規模にお金を集めないかぎり必要ありません。
さらに、TMKが不動産を取得する場合には登録免許税や不動産取得税が軽減されます。不動産は信託受益権にしなくとも取得できるので、信託報酬もかかりません。
TMKの設立、運営コストは安いのです。
(2)業法規制が実質ない
TMKは通常、業務を委託契約するため、すべての業法規制から除外されます。不動産の売買に関しても、宅建業法の規制が明文で除外されています。
(3)募集の代理人
SPC(ケイマン)が発行する組合持分や社債は、投資するものによっては国内での投資家の募集に関して金融商品取引法の規制を受けることになります。この場合、SPCが自己(役員又は社員)で募集するか、証券会社へ委託して募集する方法しかありません。
TMKであれば、自己で募集する場合だけではなく、募集の取扱を行う特定譲渡人を定めることで、証券会社以外であっても募集を取り扱うことができます。
TMKの設立手続き
1.設立手続
(1)定款作成及び登記
発起人が定款を作成します。下記が最低限の記載内容です。
@ 商号
A 目的
B 本店の所在地
C 特定資本(資本金)の額
D 特定出資(発起人が払込を行った出資)一口の金額
E 公告の方法
F 発起人の氏名、住所
G 存立の時期又は解散の事由
定款を作成し特定出資の払込が完了すると、法務局において登記申請を行います。
定款の項目(発起人の氏名及び住所は除く)に加え、取締役及び監査役の氏名及び住所(代表取締役を定める場合にはその氏名)が登記されます。
(2)業務開始届出
登記が完了すると内閣総理大臣へ届出を行います。そのときに、下記の事項を記載した届出書と定められた書面を添付しなければなりません。
<届出書記載事項>
@ 商号
A 営業所の名称及び所在地
B 役員の氏名及び住所並びに使用人があるときは、その者の氏名、住所
C すべての特定社員が資産流動化計画について承認をした年月日
D 主要な特定社員(10%以上の出資口数を持っている特定社員)の氏名又は名称及び住所
E 役員が兼業である場合、その役員の氏名、当該地の法人の名称、業務の種類又は事業の種類
<添付書類>
@ 定款
A 資産流動化計画(下記「3.」を参照)
B 特定資産譲受契約書の副本又は謄本(特定資産とは投資してる資産のこと)
C 特定資産管理委託等契約書の副本又は謄本
D 資産流動化計画について特定社員の承認があったことを証明する書面
E 特定目的会社(TMK)登記簿謄本
F 役員及び使用人の住民票の写し
G 非破産者等証明書
H 履歴書
I 誓約書
J 特定社員名簿、親会社の株主又は社員名簿
K 特定資産の譲渡人が当該特定資産の権利者であることの証明書
(3)資産流動化計画
業務開始届出書の中で、最も重要なものが資産流動化計画です。定款へは記載しませんが、TMKはこれに従って業務を行うことになります。
資産流動化計画には下記を記載します。
@ 計画期間
A 資産対応証券、特定目的借入れに関する事項
B 特定資産の内容、取得に関する事項
C 特定資産の管理及び処分の方法、管理及び処分に係る業務の受託者、その他の特定資産の管理及び処分に関する事項
D 資産の借入れに関する事項
E その他内閣府令で定める事項


