



1.有価証券の範囲
有価証券に該当するものを取り扱うときには、金融商品取引法の規制の対象になります。
(1) 第1項有価証券(ファンドに関連するもの)
第一種金融商品取引業者は、第1項有価証券の売買、仲介、取次ぎ、代理、売出、引受け、金銭や証券の預託を行うことができます。
- 株券
- 社債券
- 資産流動化法に規定する優先出資証券
- 資産流動化法に規定する特定社債券
- 資産流動化法に規定する特定目的信託の受益証券
- 投信法に規定する投資信託、または外国投資信託の受益証券
- 投信法に規定する投資証券、もしくは投資法人債券、または外国投資証券
- 信託法に規定する受益証券発行信託の受益証券
- 貸付信託の受益証券
(2)第2項有価証券(ファンドに関連するもの)
第二種金融商品取引業者は、第2項有価証券の募集、売出、仲介、取次ぎ、代理を行うことができます。引受けは第一種金融商品取引業者だけが行えます。
- 信託受益権(第1項有価証券の受益証券は除く)
- 合同会社の社員権
- 外国法人の社員権
- 任意組合の持分
- 匿名組合の持分
- 投資事業有限責任組合の持分
- 有限責任事業組合の持分
ただし、第2項有価証券は限定列挙ではなく例示列挙であり、次の4要件を満たすものは、すべて第2項有価証券に該当します。
また、国内に限定されないため、海外の法律を使って日本でお金を集めた場合でも、海外で組成されて海外でのみ運用されたとしても、日本人を相手にするかぎり、規制の対象になります。
「いかなる方法をもってするかを問わず、」
「複数の者(投資家)から事業のために金銭その他の財産の出資を受け付け、」
「投資することで、または当該財産を使って事業を行い、」
「当該事業から生じる利益を投資家に分配すること」
ただ、このままでは共同事業を行う場合でも、第2項有価証券になってしまいます。そこで、以下の1及び2に該当するものは、除外されます。
- 事業を行うときに、すべての投資家の同意を得ること
- 事業への貢献度合いが強いことで、下記のどちらかの条件に該当すること
- 出資した全員が事業の運営に常時従事する
- 出資者が専門的な能力を持って、事業の運営を継続する上で欠くことができないものを発揮して従事する
2.金融商品取引業
(1)金融商品取引業者の種類
金融商品取引業者は4種類です。左に行くほど登録が難しく、運営の規制も厳しくなります。
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第1種金融商品 取引業者
| 投資運用業者
| 第2種金融商品 取引業者 |
投資助言・代理業者 |
| 組織 |
株式会社 (取締役会及び監査役が必要) |
株式会社 (取締役会及び監査役が必要) |
株式会社 個人 |
株式会社 個人 |
| 資本金 |
5000万円以上 (元引受けは30億円以上又は5億円以上) 純資産5000万円以上 |
5000万円以上 純資産5000万円以上 |
1000万以上 個人は営業保証金1000万円 |
営業保証金500万円 |
| 兼業規制 |
兼業禁止 |
兼業禁止 |
なし |
なし |
| 主要株主 |
20%以上の持株比率がある株主に要件あり |
20%以上の持株比率がある株主に要件あり |
なし |
なし |
自己資本 比率規制 |
あり |
なし |
なし |
なし |
| 商号規制 |
あり |
なし |
なし |
なし |
(2) 金融商品取引業者の業務
投資運用業者と第二種金融商品取引業者を1社だけ登録すれば、複数のファンドを作ることができます。(投資運用業者は届出をすれば、第二種金融商品取引業者の業務も行えます。)


3.特例
金融商品取引業者として登録せずに、届出だけでファンドを組成できる特例が3つあります。
(1) 適格機関投資家等特例業務
任意組合や匿名組合を組成するときに、投資家が、「適格機関投資家1人以上+49人以下の一般投資家」を満たすファンドは事前届出制になります。


匿名組合や任意組合などが親ファンドの場合には、子ファンドの運営者には、この「適格機関投資家1人以上+49人以下の一般投資家」の特例を適用できません。
一方、親会社が投資事業有限責任組合(LPS)及び有限責任事業組合(LLP)であれば、親ファンド及び子ファンドの出資者を合計(2階層まで)して、上記の人数要件が満たせれば、子ファンドの運営者に、この特例の適用が認められています。
ただ、LLPだけでは特例が使えないため、実務的には、この特例を利用する人たちはLPSを利用するのが基本的になるでしょう。
主な適格機関投資家の範囲
- 投資事業有限責任組合(金額の制限はないため、1円でも問題ありません)
- 第一種金融商品取引業者又は投資運用業者
- 投資している有価証券の時価が10億円以上の法人又は個人で、金融庁に届出を行ったもの
- 組合の業務執行組合等である法人又は個人で、当該組合等の有価証券残高が10億円以上であり、かつ全組合員の同意を得ているものとして、金融庁に届出を行ったもの
(2) 不動産ファンドだけの特例
下記の要件を満たす不動産ファンドだけは、親ファンドも子ファンドも両方のファンドが同時に適格機関投資家等特例業務を利用できます。また、親ファンドが投資運用業者の場合には、子ファンドだけでも特例を使えます。
- 親ファンドが適格機関投資家等特例業務を利用していること
- 親ファンドと子ファンドともに匿名組合契約によっていること
- 子ファンドの投資家は1つの親ファンドに限定されていること
- 子ファンドは不動産の信託受益権だけに投資していること
- 親ファンドの管理者が、子ファンドの管理者に関して、所要の事項を事前に届け出ること
(3) 非居住者のファンド
日本人(国内で居住が前提)を相手にするファンドを海外で作ったとしても、金融商品取引業者としての登録が必要となります。
ただ、下記の要件を満たす場合には、登録どころか、届出からも除外されます。
- 直接出資する居住者が、適格機関投資家又は特例業務届出者
- 間接出資者がいる場合にも、その者が適格機関投資家
- 1と2の出資者の合計が10名未満
- 1の出資金額が全体の3分の1以下であること


4.ファンドの情報公開
ファンドで500名以上の投資家からお金を集めて、出資総額の50%を超える金額を有価証券に投資する場合に、有価証券届出書が必要になります。
第1項有価証券でもっとも有名なものは株式です。金融商品取引法でも、株式を使って増資してくれる人を自分で募集することは自由です。集める人は、第二種金融取引業者の登録も必要ありません。
ただし、過去6ヶ月間で50名以上の株主を勧誘する場合には、事前に有価証券届出書を財務局へ提出する必要があります。
そのため、49名に声をかけて、2名しか株主にならなかったとしても、そこで6ヶ月以上は勧誘すらできないのです。売出も、均一条件で50名以上に声をかける場合には、事前に有価証券届出書の提出が必要です。
一方、第2項有価証券の500名とは、実際の投資家の数を指しています。募集であろうと、売出であろうと、何千人に声をかけてもよいのです。結果、投資家が499名以下になっていれば、有価証券届出書、有価証券報告書の提出は必要ありません。
ただし、あとで売買が行われて投資家の数が500名以上になると、有価証券届出書を提出することになります。そのため、実務的には、投資家の持分の分割や転売を契約書で禁止して、500名以上になることを防ぐことになります。
なお、事業ファンド(建物内装、機械設備、コンテンツなどへの投資)であれば、何千人の投資家からお金を集めても、第二種金融商品取引業の登録だけで、有価証券届出書の提出も必要ありません。
5.広告規制と説明書類
郵便、FAX、電子メール、パンフレットで多数の者に同様の内容で情報提供をする場合には、下記の表示が必要となります。
- 手数料等の情報
- リスク情報(予定利回りなどと著しく異ならない大きさ)
- 顧客の不利益となる事実があれば、その詳細
さらに、契約するときには、契約締結前の書面交付義務が追加されました。


6.その他関連する法律
(1)金融商品の販売等に関する法律
発行会社(勧誘会社)が組合出資を投資家に売却するときには、事業者が投資している事業又は商品に関する個別リスクを説明する義務を負います。
説明義務違反の場合の損害賠償責任(民法709条)に関する立証責任は発行会社(販売会社)にあります。


(2)出資法の制限

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