




LLCとは?

LLCとは、州政府が制定した法律に従って設立され、運営されます。現在、米国のすべての州でLLCに関する制定法が存在します。LLCは、パートナーシップの有する柔軟性と税務上の利点並びに株式会社における有限責任という、パートナーシップと株式会社の最も良い特徴を兼ね備えた組織です。
米国のリミテッド・ライアビリテー・カンパニー(LLC)のメリットは4つです。
(1) | 経営及び財務面における柔軟性 | (2) | 構成員の有限責任性 | (3) | 構成員の経営参加 | (4) | 組成等における簡便性 | (5) | 税務上のメリット(チェック・ザ・ボックス規制) |
日本国の税務上の通達

LLCが米国の税務上、法人課税又はパス・スルー課税のいずれの選択を採用したかに関係なく、 原則的には我が国の税務上、「外国法人(内国法人以外の法人)」として取り扱う。理由は以下の通り。
(1) | LLCは、商行為をなす目的で米国の各州のLLC法に準拠して設立された事業体であり、 外国の商事会社であると認められること | (2) | 事業体の設立に伴いその商号等の登録(登記)等が行われること | (3) | 事業体自らが訴訟の当事者等になれるといった法的主体となることが認められていること | (4) | 統一LLC法においては、「LLCは構成員と別個の法的主体である」、「LLCは事業活動を行うための 必要かつ十分な、個人と同等の権利能力を有する」と規定されていること |
日本国内法人がLLCに投資を行う場合の現実案


日本国の金融商品取引法との関係

LLC(LPS、LLPも含まれる)は金融商品取引法上の「外国の法令に基づく契約であって、投資事業有限責任組合契約に類するものに基づく権利」に含まれます。従って、海外でのLLCたる権利を国内で営業を目的に販売する場合には、投資家1人に対して1単位の販売であったとしても証券業に該当します。販売する場合には最低でも証券仲介業の登録が必要です。



米国のパートナーシップとは、「2名以上の者が営利を目的に共同所有者として事業を遂行する団体である」と定義されています。 パートナーシップの租税法上の性格には、各パートナーの集合体とみなす考え方(集合体説)とパートナーシップそれ自体を法的主体とみなす考え方(実体説)があります。米国内国歳入法上は、原則として、パートナーシップそれ自体は納税主体となりません。つまり、パートナーシップが稼得した所得については二重課税が生じない仕組みとなっています。

パートナーシップの課税構造
(1) | 基本的には、パートナーシップそれ自体は納税主体となりません。 | (2) | パートナーシップが稼得した所得は、各パートナーにパス・スルーされ、各パートナーが申告します。 | (3) | パートナーシップから各パートナーへの損益の配分は、パートナーシップ契約によって定められます。 | (4) | パートナーシップはIRSに「情報申告書」を提出します。 | (5) | パートナーシップの課税年度は、原則として、パートナーシップの持分の過半数を所有するパートナーの課税年度に一致させなければなりません。 | (6) | パートナーシップの会計処理方法は、原則として納税者と同様に扱われ、課税所得の算定に影響を与える減価償却方法等の選択はパートナーシップの段階で行われます。 | (7) | 原則として、パートナーシップの課税所得は個人の課税所得と同様の方法で算定されます。個人の課税所得は、総益金から基礎控除・配偶者控除等の人的控除及び特定の控除額を差し引いて計算されますが、パートナーシップの課税所得もこれと同様に計算されます。 | (8) | パートナーシップの課税所得は、個別項目の所得と通常所得から構成されます。 |

タックス・シェルターとしてのパートナーシップ
(1) | 米国においては、タックス・シェルターの手段として、パートナーシップが利用されてきました。 | (2) | 米国におけるタックス・シェルターは、次の基本的仕組みに基づき、人為的にペーパー上の控除項目及び損失を創出し、所得課税を防御することを目的としています。 1. | 減価償却費等により課税年度の納付税額を軽減し、課税を繰り延べる。 | 2. | 事業資金を調達するため借入金を利用し、支払利子を損金に算入し、所得を減少させる。 | 3. | 通常所得から税制上優遇措置のあるキャピタルゲインへとその所得の性格を転換する。 | | (3) | タックス・シェルターへの投資から生じる損失の多くは人為的かつペーパー上の損失であり、納税者自身は経済的実質において殆ど損失を被らないのに、納税者のその他の源泉から生じた所得と通算されます。 |

米国での規制

米国では、タックス・シェルターとして利用されているパートナーシップに対する規制が強化されています。
(1) | 繰延べに対する税制面からの規制策 1. | パッシブ・ロス・ルール | 2. | ホビー・ロス・ルール | 3. | 代替ミニマムタックス制度(赤字でも最低の税金を支払う制度) | | (2) | レバレッジに対する税制面からの規制策 1. | アット・リスク・ルール | 2. | 事業に関係のない支払利子の控除制限(ノン・リコース・ローンも含む) | | (3) | 所得の性格を転換することに対する税制面からの規制策 1. | キャピタルゲイン優遇措置の縮小 | 2. | 最高税率の引下げ | 3. | パートナーシップからの損失の配分に関する制限 | | (4) | 税務執行面からの規制策 1. | パートナーシップに対する税務調査の効率化 | 2. | 投資家リスクの保存 | 3. | タックス・シェルター登録番号の告知義務違反に対するペナルティー等 | |

以上のように、米国においては、タックス・シェルターに対する規制が相次いで強化されており、ペーパー上の損失を生み出すことを主たる目的とする経済的価値のないタックス・シェルターは以前ほど魅力を失っています。

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